まず、映画でもなく、ドキュメンタリーでもなく、シットコムでもありません。 スタンドアップです。 それもおそらくスタンドアップ・コミックとしてアメリカNo. 1であろうJerry Seinfeld自らが「引退」と言い切る最後のステージです。 本国アメリカではHBOのコメディスペシャルとして放送され、夏の一番の目玉番組でした。
最後のスタンドアップ、
と言う割に特に特別なことをする訳でも無く、彼が最も得意とする子供時代の話、男の心理、誰もが思っている日常ネタなど、いつも通りのスタイルで、いつも通りの面白さを発揮しているところに非常に好感が持てました。 あくまで自然体で、その天性の能力を発揮する姿は、流石一流のプロという印象を受けます。
ただ、
やはり大々的に宣伝された分だけ、多少肩透かしという印象を受けたのも確かです。 面白い、ただ、今までには無い面白さを期待してしまうのか。 8年(9年?)続いたシットコムも終わり、スタンドアップからも引退してしま!う。 そう決断した彼の不可解な行動に対して、このスタンドアップから理由を探そうとしてしまうのか。 いずれにせよ、そして私だけでなく彼の最後のパフォーマンスを楽しみにしていた誰でも、おそらく何となく不完全燃焼という後味の悪さを若干感じていたのではないでしょうか?
ネタの無いところから、
万人を笑わせるその観察力と着眼点は秀逸です。 そして放送禁止用語(Fのつく言葉です)を多用することのみによって自らのルーティンにインパクトを残そうとするそこいらのスタンドアップ・コミックと違い、あくまでクリーンなトークで勝負する、いや出来るのも彼の大きな魅力だと思います。
コメディ史上に残る、
歴史的なパフォーマンス(Richard PlyorのSunset BouleverdやEddie MurphyのRowなど)とは言えません。 ただ、最後の最後までプロとして徹し続けた、職人と言っていい男の最後の仕事として、彼らしい最後の仕事だと思います。