まず思い付くのは、使用済み機器の問題だ。技術進歩が早いため、使用に十分耐える製品が「使用済み」として処分されてしまう。日本では実に、1日約7万台もの携帯電話が廃棄されているという。
一方、IT製品は生産の段階でも環境に悪影響を及ぼしている。例えば、パソコンは生産過程で数百もの化学物質が使われ、中には極めて毒性の高い物質もある。IT関連工場の周辺では、有害物質が土壌・地下水汚染などを引き起こしているケースもあるという。
本書は、ITが引き起こす、こうした環境汚染を追跡していく。1989年に出版した『ハイテク汚染』の続編と言うべきもので、米国、アジア、日本と世界各地でのIT汚染の現状を紹介する。
10年前から改善ない汚染実態地方自治体の姿勢も問われる
前著で半導体生産による土壌・地下水汚染を指摘された日本だが、現在は急速に普及した携帯電話の部品生産など、新たなIT汚染に直面している。
部品メーカーの中には「消費者にあまり名前を知られていないので、環境関係の取り組みと情報公開には消極的」な企業も多いようだ。業績好調の優良企業も、環境問題への認識や対応はまだ十分でないのが実態なのだろう。とすれば、自治体が汚染の原因究明、浄化対策、企業の責任追及などにどれだけ熱心に取り組むかが重要になってくる。
本書で興味深いのは、東芝系の工場2カ所で起きた土壌・地下水汚染の事後処理の違いだ。1カ所では綿密な汚染経路の解明調査がなされ、それに対応した浄化対策が取られたが、もう1カ所は、いずれも不徹底のままだ。著者はこの違いを「地元自治体の姿勢によるところが大きい」と見る。
一時のブームは収束したものの、経済再興のためIT産業に期待する声は依然大きい。本書は日本がIT先進国を目指すならば、国や自治体、産業界が環境汚染という“陰”の部分にも目を向け、進んで解決策を見出すべきであることを気付かせてくれる1冊となっている。
(経済ジャーナリスト 小林佳代)
(日経エコロジー 2001/10/01 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
著者は、IT産業の拠点であるアジアの国々で、環境対策が未整備の工場が土壌や水の汚染源となっている実態を明かす。大消費地である日本でも、新製品が登場するたびに大量のIT機器が無造作に廃棄され、重金属が溶け出すなどの被害が出ている。
1980年代のシリコンバレーにはじまり、全世界へと広がった「IT汚染」を根元から断つにはどうすればよいのか。本書では、原料の見直しから再利用の仕組みまで、様々な対処法を紹介している。
(日経ビジネス 2001/10/08 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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