このアルバムから感じられるものは「ジャズが始まるよりもずっと遠い昔から、人間の中に息づいているリズムや鼓動」みたいなもの。
なんだかうまく言えないけれど「原始のグルーブ」を感じさせるアルバムです。
くぐもった地響きのようなベースのリフから始まる「ESCAPE」からは、薄暗いジャングルの中を何かに追われて逃げまどうような緊張感が漂います。
そこに少しずつピアノやドラムが絡んでいくと、ジャングルの景色は次第に色彩を帯びていきます。
小刻みに打ち鳴らされるパーカッションのリズムも原始的なグルーブをいっそう盛り上げていきます。
「ESCAPE」、「BAOBAB」などを聴いて特に印象的なのが、曲の世界に広がりを与えてくれているパーカッションの奥深さです。
ひたすら時間や空間を刻んでいくようなスピード感と、曲のイメージを大切にした細やかなプレイには圧倒されます。
アフリカの原住民のリズムを想わせるような、激しいけれど、どこかやさしさが残っているような、人間らしいビートです。
彼ららしいミクスチャー感覚あふれるヒップホップっぽいリズムが特徴の 「BOUNCE」や、曲が進んでいくにしたがってじわじわとドラマチックに曲調が展開していく「PHOENIX」などを挟んで、アルバムは進んでいきます。
そして、霧のようなスコールを想わせるやさしい曲、「GENUINE」でアルバムは終わります。
すべての曲を聴き終わったあとも、心の中にしっとりとした余韻を残してくれます。
アルバム全体としては、世界観がきれいに統一されいて、ひとつの巨大な森を探検し終えたような充実感があります。
前作「ROOTS」からさらなる成長を遂げた、よりおおらかな世界観を感じさせるアルバムです。