この文を書いている現在では、期間限定再集結・聖飢魔IIのツアーの真っ最中である、大橋隆志氏のデビュー25周年記念アルバム。本作の趣旨は、大橋氏が書いた各楽曲に、ゲスト・ヴォーカリストが歌詞を書き下ろし歌った作品で、言わば大橋隆志と仲間達で作り上げたアルバムだ。
ガレージ・ロック的な「PRECIOUS PLAYGROUND」は、デーモン閣下のツアーで大橋氏とギター・コンビを組んだオーラ・アフ・トランぺのヴォーカルをフューチャーした曲で、ギターのみならず、オーラがいい味を出すヴォーカリストである事が分かる。ACE(face to ace)が歌う「CATS IN THE CELLAR」は、ゆったりとしたシャッフル・リズムで独特の雰囲気を持った仕上がりに。この曲は、ルーク篁(g)、石川俊介(b)も参加しているので、ファンは要チェック。西部劇に出て来る砂漠の土の匂いがして来そうな「ANYTHING GOES」は、西田昌史氏のヴォーカル作。注目曲はデーモン閣下が歌う「TIME TO TURN OVER」で、10分にも及ぶこの大作は、なんと聖飢魔IIの「メフィストフェレスの肖像」の為に書かれた曲との事。結局、大教典には収録されなかったが、今回ようやく日の目を浴びる日が来たようだ。
全体的には、ハード・ロック作品では無いので、そういった音楽を目当てで本作を聴くと期待外れとなってしまうかも知れないが、パンキッシュな曲、ガレージ・ロック的な曲から、ブルーズ、カントリーに至るまで、大橋氏の作曲者としての多彩な才能が存分に発揮されている。勿論、聖飢魔IIでは素晴らしきハード・ロック/へヴィ・メタルを書く事も証明済みである。今作は、各曲でヴォーカリストが違う為、当然ながら全曲でカラーが異なる。個人的解釈にはなるが、本作は1話完結のドラマを観るような感覚で、接してみると面白いかも知れない。