曲・歌詞・編曲すべてにおいて、個人的に予想していたレベルをはるかに超えた快作です。
サウンド面では、前作そして前々作の良い部分を織り込んだことにまず気付きます。70年代アダルト・コンテンポラリーの香りが漂うところは、90年代の彼女のアルバムを思い浮かべますが、本作ははるかに音の輪郭が太い。僕は好きです。例えば4、秀逸なホーンアレンジはブルージーで、古内ワールドではちょっと珍しいタイプ。
楽器の「音」の魅力が柱になっている楽曲も目に付きます。エレキ・シンセ・生の使い分けを巧みに使い分けたベースが、1、4、5、7、8を、6では鮮やかなフルートが、それぞれの楽曲の表情を作っています。僕にはアルバムのピークは9です。Aメロからいきなり引き込まれ、ソリッドな音作りとせつない歌詞のコントラストに酔ううちに、今剛の泣きのGソロでとどめ。
12「半分だけ」、タイトル・歌詞ともにとても惹かれます。ここ数年の古内さんは、まばゆいばかりの恋の歌であっても、どこかに“陰”あるいは“不安”を感じさせるように思います。彼女の歌詞に深みが増しているのはそのためではないかと勝手に解釈しているのですが、この歌はその象徴のように聞こえるからです。
自分が見せたい“半分だけ”、それは恋愛においてだけではないかもしれません。
人生のふとした場面でそう感じること、あなたにはありませんか?