かつてのアジア金融危機から、先般のリーマンショックなど国際的に大きな金融問題が生じるたびに耳にするIMFであるが、その実像は今ひとつよくわからない。
本書は、そのIMFの創設から役割の変遷と支援に当たって生じてきた課題、そして将来へ向けての展望をコンパクトにまとめたものである。
その創設は1944年戦後の世界経済体制の安定化を目指すべく、アメリカ主導で、ケインズの主張した国際通貨のような形にはならず、まさにドルを守るべく設けられたという。
ニクソンショックによりこのブレトンウッズ体制が崩壊した後は、その役割も変質し金融破綻した国家への融資とその短期回収を目指した再生プログラムの押しつけが基本になっている。
しかしながら、アジアショック時には一層支援国の経済を悪化させ、ロシアでは国際のデフォルトという事態まで発生させるなど様々な弊害を生じさせているにもかかわらず、リーマンショック後の支援でもそれらの反省を生かしきっているとは言えない。
アジアショック時に日本が提唱したアジア通貨基金構想はアメリカによって骨抜きにされたが、今再び提唱されていることに大いに期待したい。
加えて、ドルの信任が低下しつつある今、将来的にはかつてケインズの提唱していた通貨バスケットによる国際通貨のような仕掛けも必要になってくるのではないかと考えさせられた。
それにしても、IMF創設時にケインズ案が採択されていたならば、どのような世界経済になっていたのであろうか。