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しかし、これはあくまでも宮部みゆきさんのなかのICOの物語です。もともと、原作のICOは深くを語らず、プレイヤーの想像に任せる部分の多いものでした。そのため、ゲームの方を経験している人はそれぞれ自分が思い描いたICOがあるはずです。なので、内容が腑に落ちず、首をかしげる人がいると思います。自分がそうですから。
上にも書いたように、これはあくまでも宮部さんの中の一つのICOの物語です。だから、ゲームのほうをやったことのある人はこういう捉え方もあるのだと、そう思いながら読むことをお勧めします。そうすれば、非常に面白い小説です。
そして、原作をやったことのない人が。この小説を読んで原作のほうに興味を抱いていただいたら非常にうれしいです。ICOは巷にあふれているゲームとは明らかに違います。これを期に、普段ゲームをしないひとも、ICOに触れてみてはいかがでしょうか。
「少年」は「少女」に恋焦がれるもの。この白く光る不思議な少女が、理屈だけではなく、本性で慕うもの、少年の“偶像(ICON)”になったからこそ、この話のタイトルは「ICO」なのです。
しかし宮部氏のこの作品は、少年が最初から「村に帰る」と決意しており、「女王を倒す!」と述べます。この本ではそれが目的であり、まるでありきたりの冒険活劇になってしまいました。少女の存在意義は、理路整然と述べられた理屈においてのつなぎでしかないのです。
冒険モノと見れば、それはそれで面白いのです。ゲームで謎だった部分も見事な想像で繋げており、その面で見ればこれは立派なエンターテイメントになっています。
しかし、人間の深層心理を描写したきれいなボーイミーツガールであった原作を、わざわざありふれた「勧善懲悪」ものにしてしまったこの本に、少々腹立たしささえ覚えます。
ゲームのジャケットと同じ表紙を使っていますが、上記で述べた根幹の部分において、この本は原作とかなり違ったものとなっております。読むのであれば、是非、ゲームを体験されてからをお薦めいたします。ゲームを普段されない方たちにも、非常に評判の良いゲームですので。そのストーリー世界と、実際の画像の綺麗さに驚かれることと思います。
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