Webサイト設計における情報アーキテクチャ(IA:Information Architecture)に関するトピックを100個、並べた本。情報アーキテクチャの定義、考え方から上流設計を経て、最後はワイヤーフレームまで網羅的におさえてあるので、WebのIAについて俯瞰したい人にはいいと思う。
もちろん、大型本とはいえたかだか200ページなので、深い話はいっさいない(できない)が、そういうのは個々の話題に関する書籍があるわけで、こういう総括的な本は価値がある。単に(狭義の)IAにとどまらず、ユーザエクスペリエンス(UX)まで視野に入れているあたりも現代的だ。
もっとも、「はじめに」で100個の「パターン」を集めたとあり、文中にもアレグザンダーへの言及があったりするので、「IAに関するパターンカタログ」かと期待してしまうが、その予想は大きく外れた。IAに関する全プロセスを扱っているので、パターンとして扱うには粒度がバラバラすぎる。
いちおう見開きで1トピックにして体裁は全要素で揃えてあるように見えるが、実際は階層構造を分割しているだけだったりして、個々の要素の関連が見えない。左ページに図表、右ページに解説という書き方もパターンカタログを意識しているように見えるが、解説パートは構造化されてない(もしくはトピック独自の構造を持つ)から、全部読まないと意味がわからない。
結局、カタログっぽい拾い読みはできなくて、通して読んで全貌を頭に入れないと理解できない。こういうのは「パターンを集めた」とは言わない。書いてる側は全貌が頭に入ってるから、トピックごとに読んでも意味が通ると考えたのだろうか。情報アーキテクチャの専門家が自書のIA設計に失敗しているという、なかなか興味深い構造である。IAに携わる人は反面教師としても読めるという、ある意味1冊で2度おいしい本である。