ネット上では「リストカット写真集」というセンセーショナルな言葉が一人歩きしているようですが、実際に写真集を見てもいないような人が否定的な意見を書き込むのは、自分が傷付きたくないからか、もしくは他人を傷付けることでしか自分を保てないからではないでしょうか。
芸術のひとつの役割が、現実を明らかにすることであるのならば、この写真集が明らかにしたものは、写し出された傷跡や眼差しだけではなく、この作品が生み出した反響そのものではないでしょうか。つまり、掲示板にみられる暴力的な言葉、それ自体が、日本社会の病理そのもののように感じます。
おそらくこの著者のこれまでの作品の流れから考えて、この著者は、今回の作品が生み出すであろう反響をすでに予測していて、それこそが日本の現実であることを明らかにしようとしていたように思います。