曲者月刊漫画誌『ビーム』連載。
ビームは最近には珍しい奇特な雑誌で、桜玉吉氏、小池圭一氏やうすね正俊氏を何年休載しても見放さなかったり、他誌では掲載すら覚束ない個性の鮪オーケストラ氏に連載の機会を与えて2冊も単行本を出したり、衰退気味の女性ホラー誌から凶状持ち(?)の三家本礼氏を引っ張ってきたり、新井英樹氏に他誌では許されない危ういテーマの作品を描かせたり、いしかわじゅん氏や丸尾末広氏を復活させたりと枚挙に暇が無いのですが、漫画家を他のジャンルに挑戦させて化けさせる事も得意にしており、ヤマザキマリ氏の「テルマエ・ロマエ」や上野顕太郎氏「さよならもいわずに」がその範疇に入ります。
本作のタイム涼介さんもヤングマガジンの頃のちょっと抒情性が有るギャグ漫画から奇妙な味を少し残しつつ骨太でグイグイ読ませるストーリー漫画家へ化けさせました。
『あしたの弱音』、映画化もされた『アベックパンチ』に続いて発表された本作も、オカルト・ホラー、幽霊ハンター物ながら肉体派の兄ィ風霊能者「或木仁(あるぎにん)」のキャラ設定が意外性に富みつつも理屈が通って居り、成程、この手が有ったか、と思わず膝を打つ出来です。
実力は有りながら致命的弱点の露見とメディア・トレーニング不足から人気霊能者の座を滑り落ちた或木と、幼馴染の同じく落魄した元天才物理学者「磯呂井心(いそろいしん)」がコンビを組んでマイナスから再出発する様子が熱いです。
我々には殆ど馴染みの無い世界である「祓い屋、除霊屋」の商売としての裏側と成り立ちを描いている点も実に興味深いです。
「仁」がそれまで研究職とのギャップに苦しむ「心」と除霊事務所に加わった強過ぎる霊能に侵食されそうな美少女「アミノ」を率いて霊障に悩まされる顧客の依頼を解決していくストーリーがこれからどう転ぶか解りませんが目が離せません。