「厨ニ病」という言葉があるけど、私は正に中学二年生の時にこの人の音楽を初めて聴いて体に電撃が走ったのを覚えている。で、今回のリマスター再発をきっかけに久しぶりに聴いてみて、まんま中ニの時の自分の精神状態を追体験しているところw
今聴いてみて思うのは、イギリス人が作ったと思えないほど何故か演歌or民謡的な感触のメロディの曲が多くて日本人にとってはすごくキャッチーで、一度聴いたらすぐに覚えてしまうような楽曲揃いだということ。あと元々ジャズファンク系のバンドで下積みをしてただけあって、ベースがすごくファンキー。2ndアルバムではレベル42のマーク・キングとコラボしてしまったくらい、「ファンキーなベースライン」にこだわりがあった人だったんだな、と。エレポップ的なアプローチとバンド的なアンサンブルのいいとこ取りが、良くも悪くも少し中途半端な印象は否めないが。個人的にはブレイクのきっかけになった"Wouldn't It Be Good"の哀愁を帯びたメロディと、4thシングルだった"Human Racing"の哲学的というか、月の綺麗な夜の散歩にぴったりな感じが昔から大好きで。それに何よりもこの人の声というか歌い回しは今でも唯一無二の稀有なボーカルだと思う。
2枚目には各種リミックス/B面曲が収録されてるが、白眉なのはイントロのギターのカッティングだけで鳥肌必至の"Wouldn't It Be Good"の12インチバージョンと、これぞNik節としか言いようのない捻りの利いたメロディが秀逸な"She Cries"。ただしここに収録されなかったリミックスバージョンでも結構面白い音源がいくつかあるのは事実で("Dancing Girls"のSpecial Hi-Energy Mix、"I Won't Let..."の83年リリース時のExtended Dance Mix、"Human Racing"の12インチB面収録の"Wouldn't It Be Good(S. Boswell Remix)"あたり)。もし2ndアルバムの『ザ・リドル』がリマスター再発されるとしたら、その時にでもサルベージしてもらいたいなあ…とか("The Riddle"も"Wide Boy"も"Don Quixote"もそれぞれ1種類ずつしか12インチバージョンが存在しないので)。
余談になるけど、Howard Jonesの"The 25th Anniversary Concert"で途中Nik Kershawがゲストで登場して、二人で"Wouldn't It Be Good"をアコースティックなアレンジで演奏するシーンがあって、不覚にも泣いてしまった。それこそ「中ニの頃の夢が叶った」みたいな。