プロ、アマを問わず、「最高の名演」と評価する人が多いようですが、本当に全4曲を最後まで聴いた上で評価しているのでしょうか?
全曲を最後まで聴けば分かりますが、決して全てが第1番の第1楽章のようにスピーディーかつ圧倒的な演奏がなされている訳ではなく、例えば次の第1番第2楽章のように、重苦しい演奏もあります。
また、「これを超えた録音は未だに出ていない」と言う人も多いですが、単に表面的な上手さだけで評価しているのではないかと疑いたくなります。
例えば第1番の第1楽章にしても、ヨーロッパの古い街並を強引にスポーツカーで走り抜けていくような演奏にしか聴こえません。ブレインの演奏がどうこうということよりも、もっとモーツァルトの作品としてどれだけ音楽的な完成度が高いかという視点から評価する必要もあるのではないでしょうか。
実はブレインは、53年のこの録音よりも10年前に、モーツァルトの4番を録音しているのですが、そちらの方は音楽的にも大変真面目に取り組んでおり、かつ技術的にも既に最高のレベルに達しています。
しかし、それから10年後に録音された本全集の中から第4番を聴いてみると、明らかに自分の技術にあぐらをかいている演奏にしか聴こえません。勿論、ブレインの演奏だから厳しく評価しているというのはありますが、同じブレインの演奏でも、もっと音楽的にまともな演奏があるということです。にも関わらず、このカラヤン/フィルハーモニア版が最高であるという人が多いのは如何なものかと思います。