80年代終盤から90年代初頭にかけてR&Bシーンを席巻したNJS。しかし,今思い起こしてみると,本家本元のテディ・ライリーとガイを除くと,これといったアーティストが思い浮かばない。思えば,あの頃,数多くの才能が開花し,R&Bはターニング・ポイントを迎えていた。ジャム&ルイス,ベビーフェイス,キース・スウェット,チャッキー・ブッカー,ZAN・・・・それらの潮流の総称としてNJSが代用されていたような気がする。アル・B・シュア!もその1人だ。
今では完全に死語となってしまったが,自らのスタンスを「プログレッシブR&B」と呼び,NJSとは一線を画していた彼のサウンドには,NJSにはない様式美があった。
久しぶりの新作も,バラード〜スロー・ジャムを中心に,切なくなるほど甘美なメロディーと,しなやかなファルセット・ヴォイスという彼ならの美意識が満載。出世作「Night&Day」の続編のようなドリーミーで習慣性の強いスロー・ジャム「I Love It(Papi Aye, Aye, Aye)」。軽妙で洒落た雰囲気の「I’m Glad」,美しくも感傷的なメロディーが胸に染みる「Top Of Your Lungs!」。白昼夢のように心地良い「Lady In My Life」。流麗なハープの美しい音色と何処となく愁いを帯びたヴォーカルが絶妙のハーモニーを奏でる「Dedicate My All」。そして,ピアノとアコースティック・ギターのアンサンブルによる美しくも悲しいメロディーの「Fragile」。どれも秀作である。
19歳で華々しくデビューしてから20年余り。全盛期は過ぎたかもしれない。ただ,リスペクトはされても過去の偉業となったNJSに対して,アル・B・シュア!のサウンドは今なお色褪せることなく輝いている。