ルーマニアの吸血鬼伝承を背景に、日本の大学を舞台にした学園ファンタジー。
ヴァンパイアの一種族であるリリス(ヒロインの一人でカバー絵の女性)が何かしらの理由で、大学生の主人公に肉体関係を迫るというのが冒頭シーンですが、この作品はいわゆる「人間じゃないヒロインが、主人公のことを好きになり、一方的に主人公を追い掛け回すタイプのラブコメ」というのとは違います。ヒロインは主人公にとって敵なのか味方なのか一巻ではまだ分かりません。ただ主人公をつけ狙うにはそれなりの理由がある模様。色々とサスペンス要素もあり一巻目は伏線張りの段階かなという気がします。
別著の「ゴクジョッ。」とは違いギャグは殆どなく、比較的シリアスでシビアな展開。
絵はかなり上手いです。表紙絵が気に入るならば、多分中身も気に入ると思います。エロシーンはかなり多いです。
コマは大きめで、無駄な線が少なく、どういうシーンなのかが分かりやすいので、すっきりしていて読みやすいと思います。台詞やナレーションはあまり多くなく、キャラクターの心情を顔の表情だけで表現する描写が多いのも特徴です。
作風は桂正和(作者本人が影響を受けたと言っている)の最近の作品(例えば「ZETMAN」)や、女性のニコっと笑うシーンなどは奥浩哉のそれと似ている。
主人公の「心太」は神社の宮司の息子で大学生。勇敢というわけでもなく、かといってなよなよしているわけでもなく、明るくもなく暗くもなく、不良でもなくオタクでもない。いわゆる中間的な主人公タイプ。一応の正義感はある。一人称は「オレ」。
周りの登場人物も比較的みんな現実的な思考をするように描かれていて、少年誌によくある突飛なキャラクターや、いわゆるオタクアニメにいそうな記号化されたキャラクターは出てきません(今のところ)。
主人公には彼のことが好きな幼馴染みがいて同じ大学に通っているので、主人公とヒロイン二人の三角関係といった愛憎も物語の重要なファクターになりそうな感じがします。
この作者は「性」に対してある意味非情なので、ヒロインに純潔や貞操を求める人、ヒロインに対する惨い描写が嫌な人は、この作品は避けたほうが無難だと思われます。よって中高生にはあまりお薦めしません。一方でそういうのが平気な人は多分40代以上の方でも面白く読めるのではないかと思います。女性の方も性描写に抵抗がないなら(作者も女性だし)一読してみてもいいのではないかと思います。
この作者の他の作品「ミニマム」や「/Blush-DC」が好きなら買って問題ないと思います。後は別の作者ですが葉月京の「CROSS and CRIME」や、北崎拓の「クピドの悪戯」シリーズなど。