いわゆる常微分方程式の教科書的な解説や解法を解説した本というのは少し大きな本屋の書棚にあふれているが、この本はそういう本とは明らかに一線を画している。もう大分前に岩波書店からこの本の第1版の翻訳が出版されたが、今回は執筆陣にDevaneyも加わって後半の部分は趣を一変している。最初の4章くらいは2次元線型系に話を集中していて、高校の線型代数との接続もすごくいいと思われる。Jordanの標準形の話も、あれを代数としてやられると、逃げ出す人も多いと思われるが、線型微分方程式の分類問題という観点から説明されると、応用数学志望の人にもすんなりと入っていけると思われる。特に2次元に集中すれば、難しいことは何もない。後半は第1版にもあった生物学や電気回路への応用に加えて、分岐や気象予測に現れるLorentz系、そして離散力学系と執筆陣にDevaneyが加わっていることをひしひしと感じさせてくれる。