マーカスミラーのプロデュースということで確かに彼のリズムパターンの色が濃いが、実はかなりのサウンドメイキングは、レイチェルZとウェインショーターの共同作業がコアになっているなと見ました。レイチェルの音楽を良く知っていれば、このアルバム全体に彼女の個性が非常に強く出ていることが伝わって来ます。彼女の音の作り方には、普通じゃない鋭い嗅覚がありますね。その上にマーカスのベースとプロデュースの力がかぶさっているところが結果的に良かったのではないでしょうか。単にウェイン版のマイルスバンドにならなかったところ、これはこれで一味違った面白い音楽になったところ。そこはレイチェルの才能があったからじゃないですか? さらにウィルカルホーン良いですね。テリリンキャリントンも。そしてもちろんマーカスも。リズムが強力! 最後に、ウェインのプレイに関して言えば、ソプラノ、テナー共、全体的なサウンドにぴったりはまっていて、そこが逆に彼の自由なソロの持って行き方を若干奪っている感じがする。ただし、それは彼のプレイそのものの話で、サウンド全体としてはウェインショーターとしか言いようがない独特な世界ですね。彼とレイチェル、マーカスが作り出した世界の一つの部品に彼自身がなって、トータルにウェインの世界を聴かせている感じ。これのツアーも観ましたが、例の事件後なのでか、ライブでは逆にウェインのソロが突き抜けていてバンドはそれをサポートしていた感が強かったですね。