語り手のステファニー・プラムはニュージャージー州トレントン出身で、グラマーだけどちょっぴりドジなバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)。近年のミステリー小説の中で最も個性的な登場人物のひとりである。
このところ人気上昇中のジャネット・イヴァノヴィッチのプラムシリーズ第5弾で、ステファニーはまたしてもさまざまな問題を抱え込んでいる。あいかわらず従弟のヴィニーが経営する「ヴィンセント・プラム保釈保険会社」で働いているが、法廷未出頭者を捕まえて報酬を得る仕事のはあまりかんばしくない。ラブラブだったジョー・モレリ刑事との関係も冷めてしまう。大勢いる親類縁者もちっともあてにならない。それどころかケチなフレッドおじさんは、ゴミ袋に入れられたバラバラの死体の一部の写真を残し、裏に潜む危険人物たちとの関係を臭わせたまま姿を消す始末。
傑作なのは、賞金稼ぎの仕事を教えてくれた友だちのレンジャーに金銭的アドバイスを求めたとき、レンジャーが彼女をにわか家主にしたて上げ、チンピラどもから家賃を取り立てさせるくだりだ。(スタファニーはやらされた仕事に不満たらたらで、後からレンジャーに、雇われ用心棒のひとりの口調をまねて、いかに危険な目にあわされたか訴えるのだった。「テメエ、銃で撃たれたくねえだろ?捕まりたくねえだろ?ついでにいうと、楽しむってことも知らねえだろ?エ?」)
言うまでもなく、ステファニーの魅力はその「生き方」によるところが多い。そもそもランジェリーモデルになりそこなってバウンティ・ハンターに転身するという、コトに平然と立ち向かっていく強がりな面と、窮地に追い込まれたときに見せる、普通の人と変わらない気の小ささをあわせもっているところが、実にチャーミングなのだ。
プラムシリーズの既刊ペーパーバック版は、順に『One for the Money(邦訳:私が愛したリボルバー)』『Two for the Dough(邦訳:あたしにしかできない職業)』『Three to Get Deadly(邦訳:モーおじさんの失踪)』『Four to Score(邦訳:サリーは謎解き名人)』。
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それにしてもこのシリーズ、巻を重ねるごとに会話などすべてにおいて過激で卑猥なものになってきています。今後どうなっていくものやら、ちょっと心配しつつも大いに期待しています。
そんな過激な言葉を吐き散らし、意思が弱くて優柔不断、自分勝手で平気でウソもつくステファニー・プラム。こうして並べてみるとどうしようもない女性なのに、読めば読むほどハマッてしまい可愛く思えてくるから不思議。これぞステファニー・マジック!!
今までにないくらいミステリ色の強い本作、読み応え充分なのですが、!一番の読みどころはそこではなく、衝撃のラスト。事件も一件落着、そこでステファニーがいっしょに祝杯をあげるのは、やっぱりステファニー・マジックにからめとられた二人の男性、幼なじみで警官のジョー・モレリとバウンティ・ハンターの師匠レンジャーの果たしてどちらなのか?ロマンス小説を書いていた作者だけあって、スラップスティックの中に隠されてはいるものの、このへんの男女関係のことを書かせたら、ホントうまいなあ。次作を読むのがとても楽しみです。ますますステファニー・マジックの術中に陥ってしまいました。
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