グレイプバインの曲は徹底的にリアルだ。リアルで意地悪だ。
田中和将の書く詞は、人と人とが解りあうことなど基本的にありえないという前提に立っている。人間には基本的に自分だけにしか解らない感情やエゴや欲望があって、それは誰かと共有できるものではない。そしてグレイプバインは他人と思いを共有することの安易さを否定し、そんなものは自分に都合のいい幻想でしかないことを暴き出す。だがそれでもなお、他者とのコミュニケーションを渇望する。それだけが私たちに残された不確定な希望なのだとでも言うように。
そんな現代人の孤独や諦めとコミュニケーションへの渇望が、田中和将独特のクールでシニカルなリリックによって、乾いたバンドサウンドに乗って日常的な風景として切り取られている。
日常の欺瞞に苛立ちを覚えている人、うわべだけのコミュニケーションや共感に吐き気を感じている人、インスタントなカラオケ向きのJ-POPが嫌いな人におすすめです。