ジェフリー・ディーヴァーの新作!ともなれば、カバーはタイトルより作家名のほうが大きい。それはそれでいいんだけど、本作はディーヴァーがウィリアム・ジェフリーズと名乗り、ペイパー・バック向けに書いたものだーと解説されている。それもそれでいいんだけどーやっぱり「そういう感じ」は否めない。
「手を抜いている」とは言いたくない。読者を飽きさせないーという観点で言えば、ハード・カヴァー向けの作品よりキャッチーで、魅力がある。それぞれの章に山場があり、ドンデン返しもしっかりと用意されている。
物語は、ヘルズ・キッチンを取材するドキュメンタリー映画の監督が、放火事件に巻き込まれるーというモノだ。犯行を重ねる放火犯やギャングたちに立ち向かう主人公ー何故彼がこんなにタフなんだろう?とか(元・スタントマン)何故ヘルズ・キッチンにそんなに執着する?(これはネタバレなので…)という疑問にも、きちんと答えるだけのモノは持ってはいる。でも山場をつなぐエピソードには無理が感じられ、必然性が感じられない。ほんの少しだけれど。
リンカーン・ライムものの切れ味を期待すると裏切られるけど「正しい」エンタテイメントを求めるなら、良いチョイスだと思いますよ。誰しも納得する、良く切れる万能包丁ーってところでしょう。