ハンマースホイとドライヤー。世紀転換期の画家と、ひと世代下の映画監督。二人のデンマーク人の関係(基本的には前者から後者への影響)をテーマに、2006年から2007年にかけてコペンハーゲンとバルセロナで行われた展覧会の図録。
本文はカタラン語で、後ろにごく小さな活字でスペイン語訳と英訳が掲載されています。
造本のラフさが少し気になりますが、お手軽な価格ですし、持ちやすい大きさで、内容も悪くない。一応おすすめです。ただ、今はひとまず、この秋に東京で行われるハンマースホイの大規模な回顧展の図録を待ってから判断した方が良いような気がします。
本書で図版として収録されているハンマースホイの作品は36点ですが、日本での出品は約90点。また、展覧会初日には本書にも寄稿しているコペンハーゲンの美術館長フォンスマークさんがまさに二人について講演されるとのことで、東京展でも本書のテーマはある程度カヴァーされているようです。
現在同展はロンドンで開催中でその
図録も書籍化されていますが、いかんせんお値段が(笑)。しかも東京展は英国のものより規模が大きく展示方法も異なるとのことなのでこれもやはり日本版の図録をまず待つのが良いかと。
これだけでは西洋美術館の宣伝になってしまうので(笑)、本書についてもう少し。豊富に盛り込まれたドライヤーの作品の写真、充実した文献リストは価値が高い。4本ある論考は、単純な影響や表面的な類似の指摘にとどまらず、例えば写真というテクノロジーの視点から両者を眺めるなどより高度な考察を加えたものもあり、読み応えがあります(ただ個人的には、耳に聞こえない周波数の轟音が常に鳴り響いているような異様な運動感・強度を持つドライヤーの画面と、空気までが石化したようなハンマースホイのそれとの間には類似よりも断絶が大きすぎるという印象が強く、どうしても説得されませんでしたが)。