某新聞の外国文学の書評欄で紹介されていたのを見かけ、早速購入しました。
イギリスでベストセラー、2007年オレンジ賞受賞、大英帝国の影(陰謀という意味でなく、傷や痛みという意味で)の部分、ナイジェリア人とイギリス人、ビアフラ戦争、などのキーワードに惹かれました。ビアフラ戦争って何だ?と。
1960年代後半から1970年にかけて実際に起こったナイジェリアの内戦を背景に語られる、男女の愛、家族愛、友情、戦争、当時のナイジェリアなどを描いた物語。
貧しい村から裕福で都会的な大学教授の家に住み込みの手伝いとしてやってきた13歳の少年、その大学教授の恋人である豊かな中産階級の有力者の娘、その娘の双子の妹の恋人になるイギリス人男性を中心に物語が展開します。
最初の章が少年の視点で語られていたため、少年的な素朴な視点で語られるのかと思っていましたが、全然そうではありませんでした。しっかり大人向きです。
作者は1977年生まれで内戦を知らない世代ですが、それでも内戦の影を感じながら育ったようです。また、2人の祖父は内戦中に難民キャンプなどで亡くなったとのこと。
自分の両親や周囲の年上の人たちに「内戦のときあなたはどこにいましたか?」と聞いて周り、当時の中流階級の生活を書いた本を読んだりして当時のディテイルを仕入れ、たしか4年かかって書いたとかいう話でした。
黄色い太陽の半分というのは地平線から昇る太陽を描いたビアフラ共和国の国旗の図柄。
歴史的・政治的な主張を持つ本ではないです。人間を描いた普遍性を持った物語。平穏な日常を描いた部分ではユーモアや笑いもある。表面的な文化は違っても深いところでは人間は同じなのだなと思います。アフリカやナイジェリアのことをほとんど知らない私にも味わうことができた小説でした。
ただし、地理が分からないのでちょっと分かりにくかった。日本で売っている一般的な地図帳では、あまり詳しいナイジェリアの地図もないですしね。ネットで見ればあるのですが。
登場する町の位置関係を知っているほうが、戦線や避難の進行が分かりやすいです。
ところでナイジェリアはボビー・オロゴン氏の故郷でもあるのですね。彼も実はなかなか重い歴史を持つ国の出身だったのだなと思ったりもしました。
アフリカではルワンダ、ダルフール他、今でも部族間の闘争があり、それも考えさせられました。他民族で多言語で、昨日までの隣人がある日を境に敵になり虐殺者になるということがどんな風であるのか。
それと、アフリカもサバンナと沙漠ばかりでなくて都会は都会だとは思っていましたが、富裕層はここまで自由で西洋風で豊かだったのだなあと改めて感心。
すいません、認識不足でした。