とにかく蟻と人間の対比が面白いです。
護衛軍の3人は最初出てきた時とは比べものにならないくらい魅力的になりました。
数え切れない人間の犠牲のもと誕生しただけあって3者とも人間の感情を凝縮したような個性を放っています。
王への一貫した忠義は共通しているのに、ピトーのそれは率直であったり、プフは歪んでいたり、ユピーには迷いもあったりして三者三様です。
そして、王。
実力もさることながら、なによりも王たる言動がすばらしい。
威厳に満ちた振る舞いから、一瞬で敵の能力と攻略法を構築するずば抜けた頭脳、豊かで淀みなく深く含蓄ある台詞。
ガードする姿にすらその王であることを伺わせる作画の配慮が感じられます。
一方でその哄笑する姿は人間の邪悪をもその身に集めていることを思い起こさせ、正直たまらないですね。
敵キャラに定評のある冨樫キャラでも出色の個性だと思います。
ターゲットでありながら一番死んでほしくないとか、もう戦うのやめてコムギと結婚したらいいんじゃないかな。
その一方で人間側にもいろいろと考えさせられました。
キルアのゴンへの友情は多くの犠牲を予期させる絶望的な戦いの中で唯一の希望のようにも感じましたし、ネテロの決断も武人としての自分とハンター協会会長としての自分を折りあわせた苦渋の末のものだったのかな、と思います。
ナックルの立ちすくむ姿にもこの先どれだけ不穏な展開になるのか予感させるものがあり、既に心臓に悪い展開が続いてるのに冨樫どんだけだよ、って感じです。
「オレが間違っていた」その言葉があまりにも悲しい。
あと、今巻は久しぶりにギャグの冨樫も(よりによってあんなところで)顔を出していて嬉しかったです。
歓びの天空ってなんだ。
そんなハイセンスなギャグも含めて読み終えてため息をもらさずにはいられない密度の濃い巻でした。
さて、29巻は何年後…え、来月だって?ハハハ、そんなバカな。