ゲート処理からペーパーがけ、塗装・スミ入れまで、完成までのひととおりの工作を行うモデラーさん向けにレビューいたします。
組み立てた後に塗装のための分割をするのには好都合にできています。肩ブロックを胴体につないでいる板状のジョイント(グレー色)も驚いた事にPC関節で繋がっているため引き抜いておけますし、スネから足首にかけて露出している内部フレームは引き抜けるだけでなくPC関節で前後可動するようになっています。そのためこのHGUCネモはヒザと足首の間のスネあたりにもうひとつ脚部可動箇所を持つ珍しい構造をしています。この露出フレーム部分のシリンダーディテールは伸縮こそしませんがブロックに浮き出たようなモールドではなく1/144なのにきちんと二本ずつ独立した棒状になっていて肉抜きもほとんどない美しい構造をしています。ただ、このシリンダー部の動かない出っ張りは足首前方向に干渉し動きを狭めているようにも見えます。そのぶんはアキレス腱が浮き上がる関節構造なのでアクションに不都合があるようなものではないです。
ヒジ関節はジム2/3などと異なり、組み立てると前腕(下腕)から引き抜けません。連結部分がジムクウェルやヘイズル等とも異なる新しい形状をしており、後ハメ切り欠き工作をした場合はいささか脱落の危険が大きく繊細な接着を要しそうです。マスキングしたい面積を考えると、関節部から塗装をしつつ装甲部分を組み上げ合わせ目を消して〜 と、普通に作ったほうが無難です。
黄色いパーツは胸部ダクトとシールドの中央部、の計3点のみ。肩や脚部のノズル内部はボディーの成形色のままでνガンダムのように別パーツ化もされていません。ジェガン系やジム3と同様に肩のダクトの内側にまで合わせ目が入っていく悪癖をこのネモも踏襲しています。ただ、脚部後ろのノズル底部(四角)は裏側からモールドをハメこめる構造になっていますので、発色の難しい黄色をちゃんと塗装できる方々ならば美しいダクト部を再現できるようになっています。
それから頭部中央のワンポイントやコクピットハッチが意外にも取り外せない一体成型で、赤いパーツは存在しません。バイザー内部もジム2/3と同様に頭部と一体でジムクウェルやストライカーのような内部パーツは無し。このため頭部はいきなり前後接着・合わせ目処理をできます。
合わせ目処理が必要な個所は、そのほぼ全てが後ハメ加工や塗り分けを気にせず接着してしまってOKな構造をしています。難儀するのは前述のヒジ関節からくる腕部のみです。
ジム改やジムキャノン2でも使用されている優秀手首パーツ「MP−1」ランナーがついてくるので手首はとても多彩です。手の甲のパーツをネモ用の物をかぶせて使うようになっているので、使わない手首はきちんと連邦軍汎用スタイルにして別用途に使いまわす事もできます。 また、このネモの手の甲パーツはグリプス戦役のように親指部分まで覆う形状ではないです。UCバージョンという事でしょうか?
銃撃武装はUCバージョンという事で実体弾のジム・ライフルで、ジム2/3型のグリプス戦役式ビームライフルはありません。しかしジム2/3とは手首パーツの完全な互換性があるので手の甲さえ移植すれば手首ごとジム2/3からライフルをそのまま転用可能になっています。そのままついでに腰サイドアーマーのマウントラッチにハメて取り付ける事までが可能です。
シールドは組み換える事で伸縮機構を再現しています。マスターグレード同様に厚みがなく、裏側モールドがかなり控えめです。
ビームサーペルは設定上、百式やリックディアスと同じ形状ものですが、キットの年式差ゆえにパーツ分けといいビーム発生部分の作り込みといい、ディテール面において先に発売した両機を上回っております。
パチ組みシールぺた貼りのイージーモデラーの人と、工作・全塗装デフォルトのモデラーとでははっきり見え方が変わりそうな秀逸な構成のキットです。
いざ組み立ててみると同一色なのに胸部とエリ部分が別パーツ化されていたりと、グリプス戦役バージョンに塗り分けるのにも勝手が良すぎる構造をとられていてバンダイの巧みな遊び心を感じられますね。