TV版の延長としてみると完成度は非常に高いと思います。
前と変わらず、どんな事件にも手を抜かない久利生には好感をもてますし
周囲の人たちもTVシリーズと状況が微妙に変化していたりして面白いです。
この作品の一番の魅力でもある絶妙な伏線の貼り方と
それらを上手く回収し一つの終着点へと集中させていく展開の運びや
左右対称になってる部屋を利用したテンポのいい演出はここでも健在で
検事達が一筋縄ではいかない事件に苦労しながらも
少しずつ解決へと近づいていくストーリーは安心感を持って見ることができました。
クライマックスの裁判のシーンは非常に迫力があり
久しぶりに画面を注視してしまいました。
ただ、劇場版として見るとスケールの小ささは否めません。
踊る大走査線の劇場版ではとても大きな事件を扱うのですが
HEROではあくまで大きな事件に関係したありふれた事件をメインテーマにしています。
なので、劇場版独特のワクワク感といいますか
物凄いことがおきるのだという期待感には答えられない部分があると思います。
ストーリーはTV版の延長上にあるものですし
いつぞやに放送された特別編は劇場版の重要な伏線を持っています。
単品ではなくTV版、特別編、劇場版の全てで
一つの大きなストーリーを構成するいう意味では
ドラマというよりシリーズ物のアニメに似ていると言えるかもしれませんね。
中井貴一や綾瀬はるかをチョイ役で起用するなど
特別編とのつながりを強く感じたのも好印象です。
ここで一つ言いたいのは、この作品のメインテーマであり
劇中で(TV版です)久利生が言った台詞でもある「事件に大きいも小さいもない」ということです。
これは、作品としてのスケールの大きさに直結する問題ですが
あえて大きい事件を扱わず小さい事件で久利生というキャラクターをTV版のように生かしたことを私は評価したいです。
これによって劇場版としては物足りない作品になってしまいましたし
明らかに無くても成立するように見える韓国のシーンや
重要な登場人物にタモリを起用するなど
最近のTV作品に見れる安易な客寄せも感じられなくは無いですが
TV版から続くHEROというシリーズを完結するという意味で
とても素晴らしい作品になったのではないでしょうか。
最後に、この劇場版を楽しむために、TV版から全て見ることをオススメします。
最近は安易な展開や大根役者の起用など、TVドラマには期待を持てなくなりつつありますし
実際このドラマが最初に放送されたのは8年ほど前の話です。
しかし、シリーズ構成、脚本、演出といった映像作品の基礎をしっかりと抑え
最初から最後まで一つの筋を貫き通したこの作品は近年稀に見る良作だと思います。
できれば、このようなドッシリとした作品をもっと生み出して欲しいものです。