全体を通して少々単調で迫力に欠けるという印象になったのは、
恐らく人間の目の高さで真横から見たカットが大半だったからだと思われます。
残りが真正面からの視点と上からの俯瞰。
斜め上下からの視点もありましたが、角度も大きくなく数も僅か。
目の高さで横から見て描いた絵は、
人間の大きさを変えず左右に動かすので、作り手からすれば描き易いと思われますが、
視聴側からは単に横移動しているだけなので、変化に乏しく迫力に欠けます。
2巻のルーク・ヴァレンタインとの対決場面で、
床面すれすれから見上げたようなルークや椅子に座るアーカードを描いた部分があり、
非常に大胆で面白い構図だと感心した記憶があります。
8巻にもそういう変わった視点からのカットがあれば、もっと絵面に変化が出たと思います。
もう一つの要因は音楽。
PVでBGMに壮大、重厚かつ派手と三拍子揃った"Gradus vita"を使用してしまったため、
本編の死の河のBGMは相対的に地味な印象が拭えず、
加えてワルシャワ・フィル演奏でない迫力不足な音が拍車をかけてしまった感があります。
戦場音楽(?)と一緒にワルシャワで録音してくれば、迫力だけは出たのではないかと。
もっとも、作品中最も動画化が困難と思われる部分を、
原作の異様に目を強調した決めゴマまで拾い上げ、
バランスを取って動かした原作準拠の姿勢は良いと思いました。
SEやエフェクトは相変わらず迫力満点、声優諸氏の演技も(一部を除き)上手い。
9巻10巻では新しいスタッフもこなれて余裕も出来、
より素晴らしい作品を作り上げて下さるだろうことを期待しています。