アーカードは言う。
「人間とは夢の様だ」
「俺の様な化け物は」
「人間でいる事にいられなかった弱い化け物は」
「人間に倒されなければならないんだ」
100年前アーカードを倒したエイブラハム・ヴァン・ヘルシングはただの人間の年寄りだった。
だからこそアーカードの臓腑に致命傷を与えることが出来た。
ここで描写されているのは、1匹の吸血鬼の「ただの人間」に対する羨望、敬意であり、
「人間であることを止めた」者への侮蔑である。
作者の「人間」に対するこだわりは本作の主題と言ってもいい。
アンデルセンが、ウォルターが人間である事を止めた時のアーカードの落胆ぶりはどうだ。
まるで、童に追われて泣いている鬼の様じゃないか。
「また生き続けなければならない」アーカードの苦悩には「底」が見えない。