ご当地、NBC長崎放送の製作ということで、本編はTVドキュメンタリー構成になっています。かの「軍艦島実測資料集」の阿久井義孝教授による監修で、教授自身の出演による建築物の解説がなされています。個人的にお気に入りなのはその本編よりも、本編にも挿入されネットの予告編にも使用された、20分のBGVである「スペシャルエディット」です。それまでのDVDにあった、強いメッセージ性や叙情的な表現はなく、音色豊かなBGMと、なによりも叙景的なその映像美。無人で動きのないその被写体に、波や風や光など、いろいろと動きを盛り込んでいて、さらには今まで横移動の視点しかなかったカメラワークに、上下のクレーン撮影を入れ(どうやって設置したのだろう?)、バードビューで島全体を俯瞰する光景も圧巻でとても印象的です。オープニングは映画のタイトルコールかと見紛うほど。ハイビジョンではないけれど、被写界深度も広角からズームへと多様で、しかも焦点の合う箇所の輪郭が実に鮮明で、雨天の日給社宅のシーン(他作品にもありますが、日給社宅って雨が合うんですね)は、思わずそこに坐りこんでいる自分がいるような錯覚に囚われました。だからこそ、「ああ、やはりここまで朽ちてしまっていたのか・・・・・・」とどこかでわかってはいたけれど、より実感を伴って感傷的にはなりますけれど。とはいえ何よりもBGMは秀逸! 惜しむらくはDVDパッケージのデザイン……なんとなくインディーズっぽく、その内容とはギャップを感じます。一般にも受け入れられるように作成した本編なので、せめて本編収録の映像美が想像できるように、サムネイル表示にでもすれば良いと思うのですが。よりマニアックな「軍艦島1976」のパッケージデザインの方が似合いそうです。