なぜか世評が高くないが、個人的にはBob Jamesのアルバムの中では最も好きなアルバム。Bobと言えばCreed TaylorのCTIレーベルでの諸作がイメージ的には強いが、私はこの頃の70年代という時代にしかないような音、やたらと大仰なアレンジ、キンキンしたラッパ群、もこもこしたタイコとベースの音が苦手である。はっきり言ってその時代には斬新であったかもしれないが、時代を超えた普遍性は感じられない作品群である。そして、その後立ち上げた自主レーベル”Tappan Zee”では、その流れを引き継いでいるが、David Sanborn等のスタープレーヤーを起用してますますポップな路線に向かい、それがまたちょっと鼻について好きではなかった。
そこでこの作品。私がちょっとヘソ曲がりなのかもしれないが、Bob Jamesのピアニスト/アレンジャーとしての真髄を凝縮した最も完成度の高い作品だと思う。この作品では、それまでフェンダーローズを主力としていた為あまり目立つことがなかったBobのピアニストとしての魅力、アコースティックピアノが最も理想的なアレンジの中で生かされている。つまり今まではBob Jamesというアレンジャーの作品であったが、このアルバムはピアニストBob Jamesの作品であり、そこに自らアレンジを施している形となっており、やっと主人公にスポットが当たった訳である。アコースティックピアノを主軸に、アコースティックギター、パーカッション、そして、Glover Washington,Jr.の流麗なソプラノサックス、飛び道具のHiram Bullock等をフィーチャー。全体的にはミディアムで落ち着いたトーンで、アコースティックな音が美しい作品である。