名盤である。
発表から15年以上経った今も色あせることない。それまで同じブラック・ミュージックにカテゴライズされながらも,大きな垣根があったソウルとHip-Hopをごく自然な形で融合してみせた本作は,New Jack Swingブームの契機となっただけなく,現在のR&Bに多大な影響を与えている。本作がなければヒップホップ・ソウルも生まれなかったのではなかったかと思わせるほどだ。
アルバムは,New Jack Swingの代表作とも言える「Groove Me」で幕を開ける。この曲については今さら解説は不要だろう。実にメロウでグルーヴィーである。余韻を惜しむかのようにパーティー感覚の「Teddy's Jam」,メロウでエモーショナルな「Don't Clap...Just Dance」,ちょっとミステリアスな雰囲気のメロディーが印象的な「You Can Call Me Crazy」とグルーヴィーな曲でたたみかける。メロウでスムースな「I Like」や,クールな「My Business」などもいい。バラードは「Piece Of My Love」と「Goodbye Love」の2曲だけだが,いずれも高水準で,アーロン・ホールのエモーショナルなヴォーカルに圧倒される。
本作の最大の評価は,Hip-Hop界では実績のあったテディ・ライリーが,ラップを用いずにソウルとHip-Hopの融合を実現したことにある。本作ではラップは聴かれない。それでもHip-Hop色を強く感じる。Hip-Hop特有のグルーヴィーなトラック,キャッチーなフレーズやコーラスをループさせる手法などを取り入れているためで,随所にHip-Hopのエッセンスが漂う。そして本作が大きな成功をおさめた理由は,テディのプロデュース能力もさることながら,アーロン・ホールのヴォーカルによるところが大きい。GAPバンドのチャーリー・ウィルソンを思わせるディープでエモーショナルなヴォーカルこそ,テディの目指すサウンドに必要不可欠な要素であり,多くのリスナーが待ち望んでいたものだからだ。
今日のR&Bの基礎を担った作品として忘れることの出来ない1枚。