グループサウンズなんて全然注目してなかったです。“君だけに愛を”の様なジャニーズ系の音楽か、“思い出の渚”タイプのフォークソングっぽいものかそんなのしかないと思っていたんですよ。しかしそれは大いなる認識不足で、日本音楽史上極めて熱い時代の遺産をみすみす見逃していたことに気付きました。元はと言えば学校PTAの方達が私の知らないGSの名曲をカラオケで唄ってくれたのが端緒です。“エメラルドの伝説”の甘ったるさと悩殺具合はザ・タイガースどころの騒ぎではなく、“小さなスナック”は四畳半フォーク以上にフォークしています。失神グループオックスの曲は実にしっかりした歌謡曲ですし、モップスのロック魂とギターソロは凡百歌謡ロックを遙かに凌駕しています。
そして驚愕の発見だったのがザ・スパイダースの先進性です。良く聞く“バン・バン・バン”や“夕陽が泣いている”の音楽的真価に改めて感じ入り、そして促されて唄ってみた“あの時君は若かった”のぶっ飛び加減と言ったら! このグルーヴ感、テンションの高さ。ロックに日本語は乗らないなんて誰が言ったのでしょう、ムッシュかまやつという稀代のクリエーターがそんなものをやすやすと乗り越えていたのです。調べたら堺正章・井上順だけでなく大野克男や井上尭之がメンバー! 天才達ばかりじゃないですか。
改めてGSの生音源を求め、そして再発見した名曲が出来るだけ揃っているものを、と本CDを買ったらこれがまた衝撃の作品群。“あなたが欲しい”はバッハのカノン(!)をフューチャーした絶品でこれを知れただけでも購入の甲斐ありました。サイケの本道を行く“オーケイ!”、オルガンの前奏と正統的歌唱法が心地よい“白い珊瑚礁”…。眼から鱗が落ちるとはこのことです。67〜69年頃は洋楽でももの凄い曲が出ており、日本にもその気運がシンクロしていたのは当然なのですね。GSという芳醇な鉱脈に脱帽です。追いかけます。