映画史上「最初の西部劇」と言われるエジソン社の『大列車強盗』(1903)。
その製作100周年を記念したDVD。ただし、作品自体は10数分なので、
”The Heart Of Texas Ryan”(16)、『曠原の志士』(25)、”The Battle At
Elderbush Gulch”(13)が加えて収録された、サイレント西部劇ファン向け
作品集になっている。各作品の前に、数分の簡単な解説があるのも嬉し
いところだ。
●『大列車強盗』”The Great Train Robbery”
エジソン映画社の花形監督エドウィン・S・ポーターが、列車が強盗に襲わ
れるという話を、写実的かつ、映画的な話術を駆使して語った作品。それま
で、短い出来事をスケッチ的に描く作品が多かった中で、原初的とは言え
「映画的に物語る」ということを意識している点が素晴らしい。
本DVDは、米国議会図書館所蔵の35mm白黒プリントと染色プリント(伴奏
音楽、効果音入り)からテレシネされた2種を収めたもの。画質は、この時代
ということを考えれば、十分すぎるほどと言えるだろう。
●”The Heart Of Texas Ryan”
10年代に、ウィリアム・S・ハートと人気を二分した西部劇スター、トム・ミッ
クス主演作。牧場主の娘に密かに思いを寄せる朴訥な牧童(ミックス)が、
牧場乗っ取りを図る悪党一味と闘うというアクション好編。ミックスのユー
モア溢れるパーソナリティを知るには格好の作品だろう。
本DVDに収められているのは23年再編集公開版。現在、この版しか残存し
ていないということなので、仕方がないだろう。画質は、白黒のコントラストに
乏しく、登場人物の表情が見えない部分などもあるが、鑑賞に支障があるほ
どではない。
●『曠原の志士』”Tumbleweeds”
二丁拳銃で有名なウィリアム・S・ハート最後の出演作。ランド・ラッシュ(土
地獲得競争)をクライマックスに、新しい時代の到来に翻弄されるカウボーイ
(ウィリアム・S・ハート)の姿を描いた秀作だ。
本DVDは、39年再公開版(伴奏音楽、効果音入り)。ハート自身が登場し、この
作品の解説をし、最後には(若干、芝居がかった)懐かしき西部(劇)への思いを
述べるという、映画ファンにはたまらない前説付きだ。おそらくは16mmプリント
からのテレシネ素材を使っていると思うが、画質もそれほど悪くはない。
●”The Battle At Elderbush Gulch”
西部開拓を女性の視点から描いたD.W.グリフィスの短編。バイオグラフ社時代
のグリフィスの常連女優、リリアン・ギッシュとメイ・マーシュが好演しており、
20分という短い作品ながらも、グリフィスらしい「最後の救出」を盛り込んだ手
に汗握る作品に仕上がっている。
本DVDは、おそらくヴィデオ素材を使ったものなのだろう、ヴィデオ特有のノイ
ズが出る箇所などが目立つ。ただ、これも、鑑賞出来ないほど劣悪な画質とい
うことはない。
米盤DVDではあるが、多くのVCI社のDVD同様、R-All仕様なので、日本のR-2
DVDプレーヤーで問題なく視聴可能。サイレント西部劇4本が楽しめる素晴らしい
1枚だ。