録音年代もオーケストラも作曲家の時代もバラバラ、レーベルも3種類にまたがるというコンピ。したがって曲が変わるごとに音色も雰囲気も極端に変わり、面食らってしまう。しかし内容は定評ある名演と珍しい音源が組み合わされていて、聴き応え満点のアルバムだ。
1枚目に入っている『合唱付き』はプライス、フォレスター、ポレリ、トッツィという強力無比の声楽陣を得て、文字どおり白熱の演奏を繰り広げている。脚さばきがよいというか、推進力のある、もたつきなど皆無のかっこいいベートーヴェンだ。ことに第4楽章は鳥肌が立つほどに感動的。LPでは少々ぱさついた印象のあった第3楽章も、ここでは美しくうるおいのある音に生まれ変わっている。
2枚目ではマルティヌーさいごの交響曲が目をひく。ミュンシュはこの作品の初演者だったのだ(これはその翌年=1956年の録音)。マルティヌーの6つある交響曲のなかでは例外的な曲で、形式的にかなり自由であり、他の5曲に比べて緊張感に乏しいともいわれる。ところがミュンシュの引き締まった指揮はぐいぐい聴き手を引き込んでいく。勢いと統一感のある素晴らしい演奏だ。いっぺんでこの曲が好きになってしまった。
ビゼーのハ長調も颯爽とした演奏。プラッソンのようなのんびりしたパストラールな雰囲気は希薄だが、緩徐楽章のメランコリックな響きが魅力的だ。
2枚で157分を超える収録時間。超お買い得。