ジャック・ジョンソン人脈が絡んだ本作は、彼の音やライフ・スタイルに惹かれる人には推しの一枚だろう。環境問題や企業批判にコミットしながら、音的にはレゲエやヒップホップのエッセンスを(あくまで軽めに)取り入れつつ肩肘張らないグルーヴ・ロックをやっている。J.バトラー自身はサーファーではないらしいが、十分今世紀のレイドバック・ビーチミュージックの資質に溢れた音を鳴らしていると言えるだろう。確かにオーストラリアのビーチに行ってこれが鳴ってたら気持ちいいだろうと思う。
彼らがかつて米国ツアーで前座をやったデイヴ・マシューズ・バンドに資質は近いと思うけど、あそこまでプログレッシヴな知性派の音ではなく、正直音自体にビビッドな新しさは全く感じない。ただ、ライヴで本領を発揮するタイプであることはビンビン感じるし、何よりも彼らの存在の仕方が昔は無かった一つの「スタイル」になっていると思う。LOHASな生き方をしながら気負わないアーティストであり、海の近くでストレスの無い創造的な生活を送ってそうな、という日本人リスナー側の勝手な妄想が広がるというか(笑)。(逆に、ハワイはともかく西海岸でブレイクするには、「毒」の要素が足りないかも。)
40手前の自営業者としてあくせくした生活を送る僕には、感情移入できるリアリティという点では実はちょっと距離感のある音とジャンルだけど、でも彼らの「スタイル」が魅力的に映る若い人達の気持ちは何となく分かる。で、それってきっと、彼らの「スタイル」が今の時代のロックだってことなんだろうなと。いや、エレキ・ギターとエレキ・ベース主体でこんだけオーガニック感が出てるのは、大したもんじゃないかな。