昨年の暮れ頃からGoogleクローム・ブラウザのCMがTVで流れたりYouTubeで視聴されたりと何かと話題をさらった曲だが、こうやってフル音源化されてみると、期待に応じていたと思う部分と意外だったと思う部分がでてくる。
まず私が期待とは外れていたと思う部分を述べてみると、GoogleのCMで一人でたくさんの楽器を演奏していた世武裕子さんの芸達者なとても面白みを感じていた部分が薄れていると思うことが挙げられる。
CMでは一人で十役ほどをこなしていたのに、この収録曲では、世武さんはピアノ、ベース、マリンバ、コーラス、パーカッションの一部しか担当していない。(ドラムやギターは別の手堅いプロの方、グロッケンの演奏や家電製品オーブン「チン」の音はない、代わりに木管楽器が別の方の演奏でフューチャーされている)
あのCMでは”飾らない表情の世武裕子さん”が一人で楽器を操っていることが見ていて面白かったし、いっせいに画面の中でそれぞれのパートごとの音楽が、出番が回ってきては部分部分で鳴り騒ぐところが面白かった。言葉は悪いがまさに一瞬芸の良さである。
音楽は聴いていて思わず体が動いてしまう、浮き浮きしてくる感じ。
ところが、あのCMと同じような演奏を期待していた方にはちょっと肩すかしを食わされるかもしれないし、同じことはやらないだろうからという、曲の構成や展開とかで何か別のもっと凝った面白いことを想像していた向きには期待を裏切られるものかもしれない。
それは曲の時間の短さにも言える。この曲は、演奏時間がたった2分45秒という長さの中にすべてがあるのだ。
と、ここまで否定的なことを書いておいて、
このGood Morning World!という曲がどうなのかと言うと、
とてもいいのである。
理屈ではない、聴いていて各パートの旋律やリズムの工夫というか、まず面白い。
ピアノの素敵な和音と意外に響く旋律、フルートにクラリネットにマリンバにトライアングル、そしてタンバリンにハンドクラップ。途中に訪れる転調と色々なコーラスに絡むベースとピアノの旋律。
そして圧倒的に楽しいまでのリズム。
音楽の部分部分を取り出してそこだけ集中して聴き返してみても、これがなかなかに面白いのである。
視覚の無い分、CMには無い新たな感動と完成されたものにのみ感じることのできる質の良さが、当然ながらここにはある。
想像してみて欲しい。
空が白み始めて世界が目覚め始める頃の景色を。
爽やかな空気と淡い光のさし込みと、そよぐ風にはつらつとした朝特有のリズムを。
その始まりは、鶏の朝のひと鳴きかもしれないし、朝陽が朝露に濡れて光るクモの巣かもしれない。
早朝の犬の散歩や、公園を行き交う早朝ランニングで挨拶が交わされている光景かもしれない。
また、にぎやかくなっていく街の交差点を行き交う車列の景色だったり、ある家庭での通勤通学前のいつもの朝の慌ただしい光景かもしれない。
スクランブル交差点で雑踏の急ぎ足の中に光るパンプスかもしれないし、ある通学路でランドセルを背負った小学生達が列を作ってにぎやかに登校しているかもしれないし、ある喫茶店では男性がエスプレッソ片手に新聞を広げている光景かもしれない。
そういった朝のもろもろの風景に細かなスポットを当てながら、やがて音楽はにぎやかな(一日の始まりの)大団円を迎えていく。
みんな、大いに想像力を働かせてこの曲を聴こう。