一瞬、鮮血かとも見えるpeople in the box新譜のジャケット。
暴力的なまでのその赤からは、前作、『Bird Hotel』の青からの対象性を予感させるが、彼らの音楽はさらにその裏をかき、よりシンプルに、よりポップに変化した。
曲名は自棄を起こしたかと思えるほど、整然とした狂気の羅列だ。
全ての曲の頭に曜日がついていることから分かるように、このアルバムは一週間、7曲の集合体である。
波多野氏の書く歌詞はこれまではどこか傍観的で、三人称風だったが、今作は明らかに「君と僕」の世界を作り上げている。説明ではなく状況をそのままに。
1stで多くあった「彼女」という表現はほとんど見られない。
それから、波多野氏のボーカルが以前よりも感情的になった気がするのは自分だけだろうか。
しかし、その内容はあまりにもダイレクトで、デフォルメという作業が一切なされていない。
「121グラム」というような単語が平然と並べられている。
あまりにも分裂性の強いその歌詞は非常に難解であり、最早、意味などあって無いようなものだ。
例えば、その「121グラム」という単語からあなたが何を思い浮かべるだろうか? あるいは何も感じないだろうか?
きっとそれが答えなのだろう。
前述の通り、シンプルなサウンド故か、どこか曲の一つ一つに、心なしか「足りなさ」を感じる。
これは悪い意味ではなく、単独ではなんとなく不安定だということだ。
つまり、7曲の集合により、このアルバムの世界はようやく完全なものとなるのだ。
ラストの「日曜日/浴室」で一応、このアルバムは終わるわけだが、一週間はまた始まる。
その時点での「月曜日/無菌室」はまた違った曲に聴こえてくるだろう。