Legend-「伝説」という大がかりな芸名も本作を聴けば納得の傑作だ。マックスウェル,ディアンジェロ,Musiqと,R&B界では何年かに1人,「才人」と呼ぶにふさわしい逸材が登場するが,ジョン・レジェンドもその1人と言えるだろう。ハスキーで味わい深いボーカルと,ジャジーなピアノを基調としながらもゴスペルからファンク,ヒップホップまで様々な要素を取り入れた幅広いスタイルが魅力だ。
白眉は,甘美な前奏曲に続いて始まる「Let’s Get Lifted」。流れるようにスムースでジャジーなピアノが紡ぎ出す美しくも切ないメロディー。まさに極上の一品だ。
カニエ・ウェストが参加した「Number One」は,ラップを交えながらもステイプル・シンガーズをサンプリングし,’70年代ソウルを彷彿とさせるようなハッピーなナンバーに。一方,「I Can Change」は,ジャジーなピアノとシリアスなホーンセクションの組み合わせが見事。ただ,ヒモだった過去を悔い改め,一人の女性を大切にすることを誓う・・・という内容でスヌープ・ドッグ参加というのが何とも皮肉ではあるが。
この他にも,メロディアスなピアノの弾き語りによるバラード「Ordinary People」,指を鳴らしてリズムを取りながら,家族全員で歌い上げるゴスペル・バラードの「It Don’t Have To Change」,メンフィス・ソウルを彷彿させる素朴で温もりのある「Stay With You」など佳曲が多い。
衝撃の,そして会心のR&Bアルバムだ。