これは、おもしろかった。この本はとにかく読みやすい。SFに身構えてる人でも難なくその物語世界に入っていける。そして特筆すべきは、本書の主人公がこういったスペース・オペラにありがちなヒーローに描かれているのではなく、心に傷を負ったアンチ・ヒーローとして描かれている点だろう。
彼は、賭けに勝った。イチかバチかの賭けに勝って巨万の富を手に入れた。しかし帰還後、彼は精神科医のもとを訪ねることになる。本書はそんな彼と精神科医の対話のパートと、彼がゲイトウェイからの旅立ちによって成功するまでの物語が交互に語られることになる。
心に傷を負ったがゆえに、そして人間としての弱みをみせるがゆえに彼はヒーローになりえてない。むしろ、痛々しい。しかし、それでも本書はおもしろい。人間的な弱さをみせられることによって、物語に真実味が加わるのだ。
本書はシリーズ化されている。巻をおうごとに謎に包まれたヒーチー人の全貌が明らかにされるようである。
とりもなおさず、SFの各賞を総ナメにした本書は著者フレデリック・ポールの代表作であり、SFを語る上ではずすことのできない傑作なのは間違いない。オススメです。