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今回は、去年行われた二つの国際大会のレポートが中心だ。書店で見かけたとき、終わってしまった大会のことなんて・・・と一瞬思ったのだが、これが意外に(失礼!)面白い。今、日本代表を書かせたらこの人の右に出るものはいないかもしれない。
本書はタイトルどおりアジアカップパートとユーロパートで構成されていて、それぞれ完成した作品として読める。とりあえず前半がオススメ(後半も悪くないが、ページの半分がカタカナというのはちょっと辛い)。練習と試合を一つの流れで見て、ジーコの長所と短所を指摘し、中国の観衆のブーイングを「観戦に不慣れなだけ」と冷静に観察する。ところどころに「う」で始まる人ではないかと思われる悲嘆慷慨派の記者が出てきて、軽くいなされているのも楽しい。
そして、やっぱり泣き所が用意されている。山場はヨルダンとの試合のPK戦のシーンだ。「ただ、姿勢の問題である。覚悟のありようである。単なる悪あがきではない。日本代表チームは、死の瞬間まで、生ある最後の瞬間まで、ただ前のめりに生きることに決めたのだ」(p78)という言葉に、「サッカーを生きること」の哲学が込められていると思った。この言葉を読むためだけに買っても、多分損はないです。
ジーコ・ジャパンの練習はダラダラと始まるという。そしてトゥルシエがフラットスリーのシャドートレーニングを飽きずにやったように、シュート練習だけは飽きずに繰り返す。ジーコは「シュート練習は歯磨きのようなものだ」といっている(p.19)。しかも、そのバリエーションはあまり多くはない。中学生がやるようなイージーなものだという。しかし、それでいいらしい。なぜなら「難しいシュートを決めろとは言わない、決定的なのを確実に決めることが大事なんだ」から(p.22)。試合が90分あるならば、練習みたいなイージーなシチュエーションは2、3回生まれる。それをすべて決めれば負けはしない。そして、シュートの際は「落ち着いて、GKを見て、しっかりボールを見て、ベストフォームで打て」(p.22)。『ジーコの考えるサッカー〈LEVEL2〉』で小山道雄さんが書いているように「ジーコは彼の長い現役生活を通して、その『基本としてあるべきことがら』を実践してきた。だらかこそ、彼、ジーコは偉大なんだ、と私は思っている」ということを改めて思い知らされる。
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