初版の発行は1981年、ガンダムブームとはプラモと映画であり、関連商品とは下敷き、カンペンケース、メンコからシャンプーに至るまで様々な展開があったとは言え、マスコミの扱いはあくまでキワモノ、現代のような洗練されたメディアミックスなど期待できない時代でもあった。その当時に同人誌をベースにしたとは言え年号から機体開発の経緯まで記述し、さらには製作した当事者達を巻き込んで原稿をとり、座談会まで開いた本を出版できたあたりは、やはりこれも時代の成せるものであったと思う。その後、バンダイにより数々のMSVが設定され「正史」としての宇宙世紀が整えられ、今の我々の知る世界背景を含めた巨大な「商品」としてのガンダム世界が作りあげられていく訳であるが、そうなる直前、まだ制作者の趣味や思い入れ、マニアの思い込みや情熱といったものが素直に反映された「何も決まっていない時代」すなわち神話の時代がこの本にはある。その後、教義が変わろうと宗派が増えようと、ガンダムを「信ずる」ものにとって、主義信条とは別に押さえておかなければならない本であるといえよう。不要と信ずるものには不要な本かもしれない。それが星を一つ減らした理由でもあるが、もし、ガンダムのファンを自任する人間と直接面と向かえるならば「このくらいは読んでおけ」と言うだろう。発売当時1800円だった本に10倍以上の値段を付けてガラスケースに収めていた業者を尻目に、大手とは程遠い出版社から二倍強の値段で再版に漕ぎ着けた当時の月刊アウト編集長にも敬意を表したい。