やはりガンガン弾き倒すアキコグレースが自分の中での心象風景に残っている。
それほどニューヨーク三部作は素晴らしかった。
そして何となく『Tokyo』と『From Oslo』では提示された音楽と己の心象風景とにズレを感じてしまっていた。
今回のアルバムも正直に言えば恐る恐る購入してみたんだが...
結論から言えば圧倒的に素晴らしい。ニューヨーク三部作からドラムがビルスチュアートからアリ=ホーニグに変わった。
このドラムも凄腕のドラマー。彼のリーダ作『Inversations 』をここで推しておく。巧いと言えばそれまでなのだがそれよりももっと多彩で芸の細かい、ドラムで唄う事のできる希有なドラマー。その片鱗はこのアルバムでも聴ける。決して大向こうをきった派手なドラムでないが繊細で多彩なドラムでアキコグレースのピアノを引き立てる。反応もアイデアも豊富。(『From Oslo』でのヨン・クリステンセンのドラムは残念ながら繊細とは言わない。手抜きと言う)
アキコグレースだがニューヨーク時代から完全に脱皮して、彼女のピアノは『Tokyo』『From Oslo』を巡ってこのアルバムで結実したと思う。彼女のピアノの新しい地平を見せてくれた。『EVANESCENCE OF SAKURA』では日本人の桜観を良くぞ演奏で表現したと拍手を送りたいし『FLY ON SEVEN』のように弾む曲も忘れてない。『APPROACH TO SHINE』『SILVER MOON』『LACRIMOSA』と美しい曲が並びどれも美しさの深淵に触れるところまでピアノを演奏しきっている。そして耳慣れたリズムで『A Nightingale Sang In Berkeley Square』が始まるとグーンと深淵まで引っ張られたところからスーッと浮き上がってくる自分がいる。
ドライブ掛かった演奏から深い表現まで身に付け
次作はどうなるんだ?
まさかあらぬ方向に行くんじゃないかと心配になるぐらい一つの到達点に達してる。
間違いなく彼女のキャリアの中で代表作となるアルバム。