富士見ミステリーから角川にフォーマットを移したシリーズ三作目。
実際馬車が疾走するシーンもありますが、読了後の感想は「凄まじい速さの馬車の荷台に乗って、一時間後目的に降りた際の心地よい疲労感」。
登場人物も少なく、当然シリーズものなので改めた紹介も無く、頭のおどろおどろしいプロローグからラストまで全力疾走。また主人公とヒロイン(風邪)の何気ない、しかも物語の核心に入る前にも関わらずどうでもいい(失礼)会話が余計にライヴ感を誘う。
ゴシックシリーズは推理部分も勿論だが、この会話の組み立て方も魅力だろう。登場人物が会話では無く「お喋り」をし、語り部は地の文をを朗読では無く「まるで子供に絵本を読み聞かせる」ように語る。
だからこそ、ともすると酷く重く沈みがちな今回のオチですら、まるで演劇のラストのように、軽快に踊り終えるのだろう。
まだ遅くない。今からでも馬車に乗り込んではいかがだろう?
快適で愉快な旅と、心地よい疲労感が待っている。