シリーズ2冊目…ですが、時間軸的には短編集の中に先んじる事件がありそうですね。
全部読み通したら、1作目のレビューに順番を書いてみようと思っています。
今巻の舞台は、森の奥深くに眠る文明から隔絶された村。
前巻の船中と同じく、閉ざされた世界で事件は起こります。
やはりトリックは簡単過ぎるきらいがありますが、文章は
「頬が切れるほどの張りつめた静寂」や「闇に溺れる床を照らし出す」など、
この作者らしい美しさが出てきています。
後半は少々単語の重複によって文体の簡潔さが損なわれていますが…
えー、ちょっと引っ掛かった所は…ヴィクトリカ怪力過ぎ!
あと、ヴィクトリカやグレヴィールの中で、どうしてアブリルだけア“ヴ”リルじゃないんでしょう?
綴りとしてはアヴリルが正しいと思うんだけどな…瑣末な事ですが。
10代向けか、所々ふりがながふられているのですが「好事家」にはない。大丈夫なんでしょうか。
10代といえば、このシリーズは旧版のイラストのファンが多いようですね。
最初に出会ったイメージが(それが良いものなら余計に)壊されるのは誰だって嫌ですが、
このシンプルな新装版になってからしか手に取らない人が居るのも理解して下さい。
1冊目のレビューにも書きましたが、『十二国記』のように表紙を無機質にして読者層を開拓した例もあります。
また、私が友人に勧められて読んだ『アリソン』は、いい作品なのに表紙で読者層を限定してしまっています。
今巻ではラストに近付くにつれ主人公たちを包む空気が清々しくなり、
「あっという間の順応」(ここも重複だけど…)には、若者らしい希望を見せてもらいました。