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在日コリアンたちを取り巻く複雑な状況が織り交ぜられているものの、「僕の物語」すなわち本作の根幹は、たわいもない恋愛物語だと判断することもできる。しかし、この物語が、根強く残る差別に対する抵抗の物語でもイデオロギーによって引き裂かれた民族の悲劇の物語でもないところに、著者と著者が代表する「在日」の新たな世代の志向を伺うことができよう。国籍を「在日朝鮮人」から「在日韓国人」に変え、やがて「在日」あるいは「国籍」という枠の外にある広い世界を志向する主人公の思いは、父親がスペイン語でつぶやくこの言葉に象徴されている。「僕は、韓国人でもない、日本人でもない、ただの根無し草だ」。
恋のてんまつはいささか安易すぎる感もあるが、主人公をはじめ、元プロボクサーである父親、主人公と同じくアイデンティティーの揺らぎに悩む朝鮮民族学校時代の同級生たちなど、どの登場人物も、人物造形が確かで生き生きと描き出されている。本作で直木賞受賞作家となった著者は、自らを「在日韓国人」ではなく「コリアン・ジャパニーズ」と称しているが、呼称はどうあれ、「日本の内の他者」として培われたその鋭い視点が彼の創作活動にとって大きな武器となっていることは間違いなさそうだ。(梅村千恵) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
エネルギー溢れる恋愛小説,
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レビュー対象商品: GO (講談社文庫) (文庫)
金城一紀氏による直木賞受賞作。主人公である在日朝鮮人と日本人少女の「青春恋愛小説」である。 「差別」というテーマが常に付きまとうものの、暗鬱な悲壮感は感じられない。 逆にそれを跳ね返すほどの主人公のエネルギーが溢れ出している。 その主人公も博学で、セリフの一つ一つはとても面白い。 さらに主人公の友達や母親といった登場人物達も生き生きとしていて気持ちよい。 だからテーマにも関わらず、全体的にとても明るく伸び伸びとした印象を受けるのだろう。 名脇役は主人公の父親。 元ボクサーで、博学で、スペイン人になりたかった父親は言う。 「俺は朝鮮人でも、日本人でもない、ただの根無し草だ」 セリフとしては非常に強がった、突っ張った開き直りのようなものを感じる。 しかしこれは、こういう生き方をせざるを得なかった者の、悲哀の叫びなのだろう。 だが悲観に陥ることの無いところが、いかにも主人公の父親らしい。 また、映画や小説、音楽の引用が豊富なところも良かった。 とにかく、あまりテーマを深く重く捉え過ぎずに、純粋に青春恋愛小説だと思って楽しむ方がいい。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
さらさら読める,
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レビュー対象商品: GO (単行本)
さらさら読めて、メッセージも強い。みんな自分の範囲から飛び出せない社会で飛び出しちゃえよって。 なかなかできることじゃないけど、勇気をもらえる作品。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
良いリズム・・,
By タカジン (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: GO (講談社文庫) (文庫)
杉原と桜井の鼓動が聞こえてきそう。青春小説として主人公が自らを語ることからはじまるこの小説は、在日朝鮮人を、差別を、親子、親 友、彼女との関係を通して描く。しかし、テンポ良く軽快なフットワークでテーマが重くなりすぎない ようにしている。 そのためか、直木賞受賞作としては、テンポの良さと重さを感じることができる。 窪塚洋介と柴咲コウによる映画もこの原作を忠実に映像化することに成功しているようだ。 どちらからはいるにしても、気持ちよく青春小説を楽しむことができるであろう。
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