「言葉を大事に使う」・・・・・・閣下はあるインタビューでこう言われました。
「カバー曲を歌う際、何を歌っているのか分からない歌というのは吾輩の趣味には合わない」「人の曲を単にカバーするだけではなく、アーティスティックに歌っている」。
そんな閣下のアーティストとしてのこだわりや信念が、どの曲からも「絶対、自分が歌いたかった!」という熱い思いと相まって伝わってきます。たとえば、
◎山口百恵「絶体絶命」:出だしの「別れてほしいの、彼と」の色っぽい声に思わずドキッ。百恵さんのほうがちょっと擦れた凄みのある声ですね。閣下ももちろんパンチが利いていますが、二人の女性を演じきろうと意識されたためか、色っぽさが上回ってます。
◎レベッカ「フレンズ」:前々回の「Raspberry Dream」同様、閣下風にしっとりバラード調に、ときにはドラマティックなロック調にアレンジされており、いい感じ。NOKKOさんのキャピキャピッとした可愛い声も好きですが、閣下のそれは大人の魅力に溢れています。ラストのファルセット・ボイスがより閣下色を濃くしています。
◎中島みゆき「地上の星」:この曲と聖飢魔'U時代の「The Outer Mission」のイントロの部分が、よくよく考えてみるとリンクする。さて、どんな風に料理されているのだろう、と思って聴いたら、いい意味で裏切られました。ちょっと大げさな間奏(中世時代の騎士達の戦闘シーンを彷彿させます)がドラマティックかつロック色の濃い作品に仕上がっています。正直「ここまでやるか!?」状態で、こうなると、もはや「プロジェクトX」のテーマ曲では無くなっちゃってます(笑)。
ただ、欲を言えば今井美樹さんの「Peace Of My WIsh」は自分なりにはしっとりと歌ってくださることを期待していただけに、あのアップテンポにはちょっとがっかりしました。また、一曲前のジュディマリの「そばかす」とノリがかぶるのも若干気になりました。
そして、どの曲もここまで大幅にアレンジするのであれば、「いっそ最初からこういうタイプの曲を書いてオリジナルCDを出せばいいのでは?」という思いが頭をよぎったのも否めませんでした。
でも、聴きようによっては一編のストーリーからなるコンセプト・アルバムのような壮大さを感じます。オープニングの「熱くなれ」では「人生に熱くなれ、人、社会、そして地球のために熱くなれ」という裏メッセージを感じますし、「人生の荒波を越え、新しい出発、旅立ち」を思わせるラスト2曲「私は風〜私は嵐」「Departures」が非常に印象的です。
いずれにせよ、閣下の圧倒的な歌唱力と名状しがたい美声には抗えません。やはり、人類にとって悪魔の存在は脅威です(笑)。