■概評
もはや何がしたいのかよく分からないGE第六巻。
【
君のいる町(12) (少年マガジンコミックス)】と共にラブなんとか界の最先端を走っています。
少なくともラブコメではないでしょう。もしこの作品たちを「ラブコメ」と呼ぶ方がいたらそっと訂正して差し上げて下さい。
どこへ走っているのか分かりませんし後続も見えないのですが、追いつかない方が幸せなのは言うまでもないですね。
とりあえずレビューです。
■ストーリー
またもや偶然帰省が重なるなど、露骨に元恋人のフラグを立てるためだけの長野編。
甲子園というブランドを安直に使った上、
無知に無取材のハイブリッドにもし〜が無ければと言い訳までプラスした稚拙にも程がある河野の野球の話。
鼻緒のそこが切れたら直すも何もくっつけるしかなくないかという突っ込みは置いておいて、
まあいい雰囲気じゃないかなとそれなりに評価出来る花火大会。
ぶつかった相手と偶然写真が入れ替わり、
それは偶然にもプロカメラマンのもので内海には写真の才能があるんじゃないかという設定が付与された挙句、
ネタバレになりますがそこには黒川の従兄弟がいるというスモールワールド全開の繋ぎ話。
そして雨の日に中止にするようなふざけた部活がとりあえず一勝くらいはしたいねという失笑を禁じえない合宿編。
その場だけで見ればいい雰囲気のものも多いものの、
それまでの稚拙な描写や取ってつけたような言い訳がましい回想描写などが台無しにしています。
巻末にキャラクターのそれっぽいプロフィール等を載せてるヒマがあったら、
少しでも先の展開を考えたり取材する方が遥かに有意義だと思いますがね。
主人公がどんなアーティストを好き、だとか何の意味があるんですかこれ?
ああ、リアルっぽさが出ましたね。人形に写真を張り付けて「これは人間だー」と言っているのと同じ感覚です。
■登場人物
面白がって新幹線代まで出させるなど、限度を超えた主人公の扱いをする人間と何故主人公は関係を継続しているのでしょう。
アドバイスが貰えなくなる、実は自分のことに親身になってくれる、という理屈は分かりますが、
ぶっちゃけYahoo!知恵袋等で十分です。現実にこんな人間がいたら確実に縁を切っています。
勿論気のおけない関係は大切ですが、境界線を踏み越える人間は大抵そういった関係にはなりません。
但し、主人公側に良識や常識、教養や判断力が欠如している場合はこの限りではありませんが。
そして登場人物の知性は作者のそれを超えることは出来ません。
■作画
全体的に線が太く硬質な作画は変わらず。
ところで、浴場で晶が黒川を見上げている構図、おかしくないですか?
■その他
この作者さんは、物事を描くに当たって全く該当資料に目を通したりしないのでしょうか。
普通に考えて、甲子園がかかった試合で応援席がガラガラはあり得ませんでしょう。
次いで上でも述べた通り下駄の鼻緒を直す、
というのは一般的には応急処置的に挿げ直す(五円玉と布や糸があれば出来ます)ことなのですが、
鼻緒の足に当たる部分が切れたのをどうやって直したのでしょうか。縫ったのですかね?
またこれは巻末のおまけですが、「おねーちゃんのフシギダネに勝とうなんて――」とは、また随分と説得力の無い台詞を。
あ、一応該当資料に目を通したんですね。登録順で一番ですし。
■総括
リアルだと呼ばれるこの作品を読んでいると、自分の周囲の世界や楽しい恋愛は実はファンタジー・作り話で、
GEで描かれているような世界や辛くつまらない恋愛こそがリアルなんじゃないか、と錯覚させられます。
かの大ヒット作【
涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)】でも
「この世界は昨日構成された可能性を否定出来ない」等の提言がなされていますが、
この作品ももしかしたらSFの要素を取り入れているのかもしれませんね。
そう言った点を鑑みると評価出来る点は非常に多く、現実から乖離した世界感も逆にメタフィクション的要素に見えてきます。
高校生活という描写からここまで芸術的な作品に昇華したことを評価し、これからの展開に期待するという点を含めて、☆2です。