この話は「おこさま」バルター博士がオトナの男に
なってカプリカ6と一家を営んで暮らしていくまでを
描いた成長物語として終わります。ディックの短編には
火星に移民した貧農農家の少年の目を通して未来世界を
描いたプロレタリア風SFがありますけれど、実際には
1930年代のスタインベック「怒りの葡萄」のような
本当に史実に基づく小説もあるわけで・・・この
「ギャラクティカ」も機械に追い立てられた人々の
出エジプト記と考えると「怒りの葡萄」のSFドラマ版
とも言えそうです。
カーラ、リー、リーの弟の三角関係は同じくスタインベック
「エデンの東」さらに根底にあるのがカインとアベルの物語で
人類初の殺人事件を「原罪」として設定しているようです。
アダムとイブと蛇とリンゴとリリスは原罪でも何でもなく
この物語で敵役のサイロンも望んでいた「生殖」の象徴に過ぎません。
但し、ヘテロ異性愛は罪無き事だが、ホモセクシャル同性愛では
次世代を残す事が出来ないので罪悪、のようなメッセージも
含んでいるのかも。トーリーやザレックのようなキャラが
同性愛的。
最後はやたら家を建てる話が出てきますが、ゲータ中尉が
「子供の頃は建築家になりたかった」と語るようにヒトラーの
役回りがバルターからゲータへ転じたと考えても良いでしょう。
(獄中記を書くまでがバルター、実際の反乱はゲータ)
現代人が常に帰っていくべき「原罪の場所」と言うのが
1930年代なのかも知れません。