邦題は何とものんびりしているが、原題は"Arguments against G8"。最初から最後まで「G8の、中でも特にその親玉であるアメリカの狡猾で傲慢な利権屋共は、この30年で世界中に対しどれだけ悪逆非道な無法の数々を働いて来たのか」と云う内容に貫かれた弾劾の書である。
16人の執筆者がそれぞれ以下の各項目について容赦無くG8の愚劣な施策を挙げて非難の声を浴びせているが、チョムスキーとスーザン・ジョージ以外の執筆者については知っている読者は殆どいないだろう。執筆者に活動家等が多い所為かボリュームが薄い所為か、結論部分が先行して論証部分が若干手薄なのがネックと言えばネック。だからと云って適当なことを述べている訳では無論ないが、この手の問題では読者が与えられた情報の信憑性をどれだ吟味出来るか、と云うことが最重要課題なので、既に或る程度この分野について学んでいる者が頭の中を整理する為に読むか、或いはこれからこの分野について学びたいと思っている者が手っ取り早い見取り図として踏み台代わりに読むのが正解だろうと思う。何れにせよ、これ一冊で満足してまう読者はこの場合良い読者とは言えない。所謂「サミット」が直接関わった諸問題よりも、今日の世界規模の大問題一般についての記述が多い気もするのだが、とにかくコンパクトに良く纏められているし、マスゴミが仲々取り上げようとしない話題についても遠慮会釈無しに論じているので非常に痛快である。
第1部 権力の集中
グローバリゼーションと戦争/民主主義/戦争/大企業の権力/アフリカ/G8 グレンイーグルス 2005
第2部 世界の問題
貿易/債務/人種差別、亡命、移民/地球温暖化/食糧安全保障/HIV・エイズ/これからどこへ行くのだろう