最初に語られるように、本書は「猪木vsアリ戦の真実は何だったのか」を明らかにしようとは意図されてはいない。
モハメドアリの挑発に始まり試合の後日に至るまでの約1年間の様々な発言の時系列から本書は始まる。
当時の紙面の写真も多く掲載されており、高い資料価値を感じる。もう少し大きければ読むことが出来たのに、
と残念に思う程である。
また、当日は少年であった各分野の人物へのインタビューは大変に濃密であった。
元ボクシング世界チャンピオンがよく他競技を知り、柔術家がプロレスラーを愛し、
トップレスラーが少し遠くから眺める姿はとても興味深い。
そしてなによりも多数の素晴らしい写真に目を惹かれる。猪木のしなやかな蹴り、
大陸間弾道弾のようなアリの左ジャブ、インターバル中に猪木と話すカールゴッチの涼しい表情、
仁王立ちで敵陣を睨む若き山本小鉄、そのどれもが素晴らしい写真として残されている。
当然オートフォーカスカメラなど無い時代である。
これだけの写真を収めたカメラマン達の腕に驚きを敬意を覚えずにいられない。