「SURFACING」「AFTERGLOW」と、近年ますます艶のある音楽で幅広い層にアピールし続けるサラですが、先述の2枚合わさっても到底かなわないのが本作「Fumbling Towards Ecstasy」でしょう。捨て曲がないのは当然の話ですが、歌詞・サウンド・ビジュアル・思想などが統一された奇跡的なアルバムだと思います。ジョニ・ミッチェルやカーペンターズなどに影響されながらも、パンクミュージックの大ファンであるというサラ。他のアルバムではAC/DCのカバーもやってのけるほど。それにしてもここでの歌唱は録り直す必要などまったくないほどの完璧さです。「POSSESSION」「GOOD ENOUGH」「HOLD ON」「MARY」「ICE CREAM」などなど曲順もいいし粒揃い。「静」の魅力ではなく「動」であるまさに血の通ったアルバム。説得力があり人を動かすパワーを持つこれらの曲でも分かるようにサラは人間の本能そのものにメロディを付けるのが本当に上手いです。まさに職人技。サラはいわゆるロックミュージシャンではないけど、根底に棲んでいるのは間違いなくロックの魂であり、彼女はロックミュージシャンである。