昔々と言っても、1960年代に敏腕プロデューサーがおりました。名はクリード・テイラー。「濃い」ジャズ・ギターでジャズ・ファンに圧倒的支持を受けていたウエス・モンゴメリーにスタンダード・ナンバーを演奏させ大ヒット。イージーリスニング・ジャズという分野を確立したのです。名アレンジャーのドン・セベスキーに編曲させ、バックには超有名ミュージシャン、たとえばロン・カーターなどを含むオーケストラを配する方法で、数々のアルバムをヒットさせました。その敏腕クリード・テイラーがテーク・ファイブの作曲で有名なアルト・サックスの大御所、ポール・デスモンドを迎えて作ったアルバムの一枚です。曲はあまり知られていないボサノヴァばかり。しかし、これがいいんだなあ。デスモンドには、RCAから、「ボッサ・アンティグア」などの名盤がありますが、オーケストラをバックに吹くデスモンドもいいものです。デスモンドには同じ手法で作った「サマータイム」がありますが、このアルバム共々、素晴らしい出来です。60年代、70年代のフュージョンが、時代遅れに聞こえるのに、このアルバムは現代的です。名盤です。夏の夕暮れに聴くと、気分はコパカバーナ海岸に一っ飛びです。聴いてて気分がいい上質なアルバムです。ジャズの辣腕商人、クリード・テイラーに感謝、感謝。(松本敏之)